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「板前オープンスクール」プロジェクト裏側のストーリー

2023.7.14

和食の未来を創る「板前オープンスクール」

寿司業界や和食業界では、コロナの影響もあり職人の人材不足が問題となっています。まもなく創業100年を迎えようとしている大東企業株式会社では、日本の食文化を継承していく料理人のクラフトマンシップを軸に、次の時代へ食の価値を高めるために、働きながら学べる「板前オープンスクール」を2022年11月に開講いたしました。

寿司職人コースと和食コースからなる「板前オープンスクール」では、当社の第一線で働くベテランの料理長の直接指導による学校では学べない実践的なカリキュラムを短時間で学ぶことができ、実際に寿司職人コースでは、料理業界ではない異業種から転職後、わずか入社半年で寿司カウンターデビューがした寿司職人も在籍しています。

板前オープンスクールへの応募は随時おこなっており、応募者増に伴い、今秋には寿司職人スクール実施店舗が品川にオープンする予定です。年齢・性別・国籍関係なく学ぶことができる当スクールに、ご興味がありましたらぜひお問合せください。

1927年創業の飲食企業だからできる”食文化継承”

まもなく創業100年を迎えようとしている、大東企業株式会社。当時バスの運転手をしていた当社の創業者である北尾滋次郎が、地元である埼玉県の『大宮』と『東京』を繋ぐ会社を作りたいと考え、大宮から『大』、そして東京から『東』を取って名付けられたのが社名の由来です。

北尾は戦後の銀座で、当時の社交場であった「ミルクホール」を開業し、オリンピック景気の時代の波に乗り複数の店舗を構えるまで人気となり、その後も銀座エリアを中心に店舗数を増やし続け『個室居酒屋番屋』の原型となる『民芸居酒屋番屋』がオープン。本社を銀座から神田に移し『個室会席 北大路』の原型となる日本料理店の展開を始めました。現在は銀座エリアを中心に飲食店事業や不動産業などを展開し、飲食店は国内外合わせて30店舗運営しています。

時代は昭和から令和になり、寿司・和食職人は深刻な人材不足に陥っており、業界全体が抱える問題となっています。そこで、以前より「板前スクール」を開催していた当社は、2022年11月、和食の未来を担う職人育成の取り組みを開始。未経験からでも働きながら学べる「板前オープンスクール」を開講しました。料理長による直接指導により、短期間で実践的に学べるのが特徴です。

多くのメディアに取り上げられた「寿司職人育成店舗」

大々的に広告費用をかけるわけでもなく、通常の新店と同じようにオープンした寿司職人コース開催店舗である『GINZA SUSHI BANYA KAI』ですが、2023年1月のオープンと同時に多くのメディアに取り上げられたこともあり、スクールへの応募が応募・入社が相次ぎ、志の高い料理人が多く集まりました。

TBSのニュース番組「Nスタ」「news23」でご紹介

目指せ一流の寿司職人!「いつかお母さんに握りたい」福島から上京した20歳の新人女性が“悪戦苦闘”3か月の“超短期間の修業”に密着|TBS NEWS DIG

日経新聞オンライン・日経MJ掲載

若手寿司職人についての記事が「日経新聞オンライン」紙面版「日経MJ」に掲載されました。
寿司業界全体の職人不足に対応するために、当社の新しい試みとしてオープンした”若手寿司職人を店舗で働きながら育成するための新店舗である取材記事、ぜひご覧ください。

香港(翡翠台/TVB JADE)の旅番組取材

「GINZA SUSHI BANYA KAI」のオープンを控えた1月始め、香港のテレビ番組(翡翠台/TVB JADE)ロケがおこなわれ、香港では日本通で知られている人気タレント「エリカ・チャン(Erica Chan)/ 陳嘉慧さん」と「ジャービス・チョウ(Jarvis Chow)/ 周奕瑋さん」がご来店され、「Omakase(おまかせコース)」をお召し上がりに。番組放送後、香港からのご予約が殺到し、現在でも香港から多くのお客様がご来店されています。

掲載していただいたメディアが多いため、NEWSでは全て告知できていませんが、当社はじまって以来、過去最高の取材とメディア掲載をいただきました。複数のメディアに取り上げていただき、御礼申し上げます。

NEXT FOOD CULTURE GLOCALLY

大東企業のパーパスは「NEXT FOOD CULTURE GLOCALLY(食文化を通して地域と世界の人々に貢献し、持続可能な食の新しい価値をつくる)」です。銀座という街に根ざし地域のお客様に「美味しさ」と「楽しさ」を届け続けると同時に、世界に日本の食文化の素晴らしさを伝えたい。そんな想いを胸に、料理人の職人技と斬新な発想で日本の食文化を発信してきました。今度も当社では、食の価値を高めるさまざまなプロジェクトを展開し、地域の課題を解決するサスティナブルな食のあり方を探究してまいります。

10年前から開催していた新卒対象の「板前スクール」

『個室会席 北大路』では、約10年前から2018年まで、新卒で入社した料理人を対象に、個室会席 北大路の店舗(八重洲茶寮や虎ノ門茶寮)で、和食の技術を学ぶ「板前スクール」を実施していました。

和食の世界では一般的に入ったばかりの新人が調理長から直に指導を受けることは難しいといわれていますが、このスクールでは料理長から直に指導を受けることができたため、当時店舗がお休みの土曜日を利用しての開催でしたが、”もっと学びたい”という志の高い若き料理人たちが参加し、仲間と一緒に技術を習得する学び場となってました。

スクールの講習は午前と午後合わせて4時間程、月別のカリキュラムを4月から翌年の3月まで学びます。初めの2カ月間は料理人としての基礎を学ぶため、衛生講習会や土鍋でのお米の炊き方などを学び、その後4カ月間は大根などを使って包丁の扱いと卵料理の練習をおこないます。そして最後の6か月間は魚の洗い方から一人で焼き物や天ぷらまで調理技術を学び、3月の実務試験に合格したら終了となる内容でした。

毎年恒例となっていた板前スクールでしたが、2019年コロナがまん延し、店舗の営業自粛によりスクールと新卒採用が中止になってしまい、和食の世界において一人前になるまで長い修行期間を要するというハードルの高さから、特に若手世代の職人不足が課題となっていたところに、コロナが追い打ちをかけるかたちとなりました。
こうした状況を受け、料理人のクラフトマンシップと日本の食文化の継承を使命と考える当社では、未来を担う職人を育成するべく「板前オープンスクール」を企画しました。

この取り組みを推進したのは、北大路グループのグループマネージャー・廣瀬進です。廣瀬は『個室会席 北大路』の料理長を経て、北大路のグループマネージャーに就任し、現在は料理人採用や商品開発なども担当しています。

北大路グループマネージャー:廣瀬

当社では2020年~2022年の間、新卒採用を中止していましたが、コロナの感染者数の減少が見えてきた2022年6月、来年に向けて3年振りに新卒採用をおこなうことになり、新しい新卒採用企画を考えていた中で生まれたのが、営業時間中の実店舗で料理長指導による、若き料理人を育てる「板前オープンスクール」でした。

今までおこなってきたスクール同様に、当初スクールの参加対象者は2023年に新卒で入社予定の10名限定でしたが、2023年1月にオープンした『GINZA SUSHI BANYA KAI』のオープニングスタッフ募集に合わせて、社外からもスクール生を募ることにしました。調理経験、性別、年齢、国籍などに関係なく、幅広い人材を新たに受け入れることにし、コースは和食だけでなく寿司コースも新設し、受講者が自由にコースを選択できるようになったのも、以前のスクールとは異なる点です。

過去のノウハウをベースにした、効率よく学べるカリキュラム

以前の北大路グループ限定のスクールでは、新卒・若手料理人向けとは別に中堅の料理人向けのカリキュラムも存在していましたが、実際に中堅の料理人が参加してみると、スクールで学ぶよりも実務で学ぶことの方が良いことに気が付きました。スクールで学んだほうがよいこと、そうでないこと。そうやって7年程試行錯誤しながらカリキュラムをブラッシュアップし、ようやく調理未経験者向けの基礎的なカリキュラムが完成しました。

新しいスクールではこのカリキュラムを基に、当社の第一線で活躍する料理長からの直接指導による、生きた調理技術を学ぶことができます。営業中の実店舗で学ぶことにより、一般的な調理学校では経験できない、リアルな現場での経験も積みながら料理人としての基礎を、効率よく短期間で習得することができるようになるのです。

寿司コースを開始するにあたり、当コースのカリキュラムを開発した大川がこだわったポイントは、”まずは徹底的に握りを覚えさせること”でした。寿司職人になる場合、通常は数年の下積みを経験してから握りの練習ができるようになりますが、大川はあえて最初に握りを学ばせることにしました。その理由は、スクール生が1日でも早く実践で握れるようになるための実力を習得するためです。これはカウンターで寿司を握ることを短期間で目指す当スクールだからこそ実現できることなのです。

今まで料理長として店舗の調理場を任されていた大川ですが、今回初めてスクール生たちに直接指導をすることになり、一番大変だった点は、スクール生たちに「自分はプロだという意識を持たせること」だったそうです。ただ学ぶだけではなく、意識をして学ぶことで寿司のクオリティーも変わるので、プロになるという意識が大切だそうです。大川はこの想いを伝えるために、自らスクール生一人一人とのコミュニケーションを図るようにしているといいます。

大東企業グループ寿司業態の統括料理長:大川

短期間で一人前を目指す「寿司職人コース」と「和食コース」

寿司職人コース

2023年1月オープンした『GINZA SUSHI BANYA KAI」で学ぶ、「寿司職人育成3か月カリキュラム」です。寿司職人の経験のない方でもご参加できるよう、衛生管理の知識をはじめ、寿司職人としての心構えや技術の習得を約3か月かけて学ぶコースです。

・寿司職人コースカリキュラム内容
《1ヶ月目》
身だしなみ、挨拶、接客、お米のとぎ方や寿司酢の合わせ方など、寿司職人の心構えと衛生管理など基礎学習
《2ヶ月目》
調理場内清掃の仕方、美味い料理の追求、寿司酢の合わせ方、魚の水洗いやおろし方、握りなどの実践・反復など
《3ヶ月目》
穴子のおろし方、貝の処理、鮪の解凍やさく取りなどの技術習得のほか、1・2カ月で学んだことを徹底

「板前オープンスクール」寿司職人スクールは下記店舗で開催しております。

和食コース

個室会席 北大路の指導による、「北大路育成6ヵ月カリキュラム」です。こちらは寿司職人コースとは期間が異なり、コース終了までに約6カ月の期間となりますが、厳しい和食の板前の世界では3年かかる技術習得をこの短い期間で着実に学ぶことができます。

・和食コースカリキュラム内容
《1ヶ月目~2ヶ月目》
包丁研ぎ・衛生管理・器具器材の使い方・コースの献立・野菜カリキュラムなど基礎学習
《3ヶ月目~4ヶ月目》
野菜の応用(桂剥きや角切り、面取りなどの切り方)・前菜の組み方・盛り付け、魚の三枚おろしな
《5ヶ月目~6ヶ月目》
だし巻き玉子・焼き物・煮物(煮方)まで、盛り付けから提供まで実践形式

「板前オープンスクール」和食コースは下記店舗で開催しております。

いずれのコースも、年齢や飲食店での経験を一切問いません。スクール生は午前中からお昼にかけて店舗の厨房で学び、午後からは仕込みをしながら営業にも参加してもらいます。リアルな現場での経験も積みながら料理人としての基礎を浅く広く習得することで、経験ゼロからのスタートでも短い期間で、しかも店舗で働き収入も得ながら、グローバルに活躍できる料理人を目指すことができます。

半年で寿司カウンターデビューしたスクール生も 

こうして2022年10月に板前オープンスクールを開講し、11月に大々的に記事を掲載したところ、スクール生の応募・入社が相次ぎました。

スクール開講から半年が過ぎ、寿司コースについては、カウンターデビューしたスクール生も既に数名います。一方の和食のコースは『個室会席 北大路 赤坂茶寮』を中心に多店舗で修業を積んでいる最中で、現在「板前スクールレストラン」を企画しており、近々提供予定です。

取り組みを開始してから寿司・和食の板前志望者が続々と集まり始め、直近半年間(2022年10月~2023年3月)の応募者数は212人と、前年同期比で約6倍となりました。向上心のある人がより多く集まるようになったという変化もあり、スクール生たちは経験はなくても高いモチベーションを持ち、早いスピードで成長を続けていると、廣瀬は話します。

約15年振りに再び大東企業へ。料理人としてのリスキリングも可能

2023年7月現在、13名在籍している寿司職人コースのスクール生のなかには、調理経験なしで大学卒業と共に入社したスクール生や、寿司以外のジャンルの調理経験があるスクール生など様々なスクール生がおり、なかには『個室会席 北大路』で5年半程勤務したのち、様々な飲食店での経験を経て約15年振りに再びスクール生として当社に戻ってきたた方も在籍します。

元個室会席 北大路勤務、2023年6月に再入社し、現在は9月にオープン予定の『GINZA SUSHI BANYA KAI』品川店でカウンターデビューに向けて練習を重ねている河村に、なぜ再び当社で働くきっかけになった理由を尋ねたところ、「寿司を専門で学ぶことができ、海外で働くチャンスあるから」だったそうです。さらに実際に働いてみての感想も尋ねたところ、「ここまで丁寧に時間をとって教えてくれるところはない」とも語っていました。当スクールでは15年以上の調理キャリアを持つ料理人も認める、内容の濃いカリキュラムを短期集中で学ぶことができるそうです。

「板前オープンスクール」寿司職人コース・スクール生:河村

海外でも活躍できる、グローバル人材の育成

当スクール開講後、以前はなかった傾向として河村同様に海外志向を持つ人が多く集まるようになりました。店舗での当スクール終了後は、日本国内の大東企業グループ店舗だけでなく、海外店舗でもすぐに活躍できるチャンスもあります。2023年2月には「板前バンコク3か月チャレンジ」として、バンコクの店舗「会席 北大路」で3か月働きながら学ぶ研修企画も発表しました。大東企業グループではオーストラリアやアメリカの出店を計画しており、海外でも活躍できるグローバル人材の育成を目指しています。

今後も当社は、料理人のクラフトマンシップを大事に、日本の食文化の魅力をさらに高め世界に発信することをミッションとして、世界で活躍できる料理人の育成・サポートを通じ日本食のグローバル化に貢献してまいります。

板前オープンスクールの開発者・講師のご紹介

北大路グループマネージャー 廣瀬 進
専門学校を卒業後、浅草の和食割烹店などでふぐ調理を8年間経験し、『個室会席 北大路』の前身となる『日本料理うるわし』の副料理長候補として大東企業に入社。実績が認められ、わずか1年で料理長に就任。その後、約30年に渡り北大路の料理長として勤務し、現在は北大路のグループマネージャーとして商品開発と調理人採用を担当。

大東企業グループ寿司業態の統括料理長 大川 智一
都内の懐石料理店や高級割烹料理店で和食と寿司職人としての経験を積み、大東企業に入社。『個室会席 北大路』や『寿司北大路』での功績が認められ『寿司居酒屋 番屋』の料理長に就任。現在は大東企業グループ寿司業態の総括料理長を担当し、兼任で「板前オープンスクール」寿司職人コースの講師としても活動中。

板前オープンスクールへの応募は、下記のフォームにて承ります。

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