どこよりも情熱を持った板前が提供する料理は
見た目も味も格段に違います。
料理を作る上で最も差が出るのは、
“包丁の手入れ”をどのようにするかです。
この記事では当たり前のようで当たり前ではない包丁への向き合い方について、つづっております。
料理人の方にぜひ見ていただきたい記事となっております。
90年続く板前文化を継承し、時代に合わせて進化をしてきた北大路。完全個室のおもてなしをテーマに日本料理を提供しています。
板前の技術の向上はもちろんのこと、変わらず大事にしてきたものがあります。それは “包丁のメンテナンス”。
「包丁を大事に使うなんて、板前なら当たり前」と声が聞こえてきそうですが、実際の調理場は当たり前ではないことが多いです。むしろその逆で、包丁を「真の意味」で大事にできてないことが散見されます。もちろん日本料理を手がける料理人は、100%と言っていいほど包丁が大事であると認識していますが、包丁のメンテナンスができていなかったり、そもそもなぜメンテナンスを行うのかをわかっていないことが多いのです。
この記事では北大路の料理人としてどんな思いで包丁と向き合い、手入れをしているのかを取り上げた記事となっています。後半部分で包丁にかける熱い思いが記載されているので、最後まで目を通していただけたらと思います。
北大路では四季折々のさまざまな料理を提供させていただいております。
ここからはみなさまに愛されて30年、北大路が提供する料理の一部をご紹介します。
ー人ひと鍋 鱧と石垣牛の会席
爽やかな夏の味覚、鱧と石垣牛の特別会席。 夏に旬を迎える淡路島産の鱧。
おおぶりに切り分けた身は、その白さとふわふわとした質感から夏の雲を思わせます。
夏バテに良いとされるコンドロイチンや、美容や健康のもとといわれるビタミンAが豊富に含まれ、
夏を乗り切る食材として最適です。
北大路特製出汁のしゃぶしゃぶでお召し上がりください。
ベジタリアン会席
海外からのお客様や食事制限のあるお客様に最適なベジタリアン会席(ビーガン対応)をご用意しております。
日本の獲れたて野菜を生かした全8品の野菜コースで大自然で育まれた新鮮な野菜を熟練の板前によって創作いたしました。
菜食の大切なお客様のおもてなしに、四季の恵みが生かされた野菜コースをお楽しみいただけます。
出汁に至るまで、動物性の食材は一切使用しておりません 。
お祝い顔合わせ会席
お顔合わせやお食い初め、七五三、還暦、長寿のお祝いなど、
お祝いシーンに相応しい、心温まる料理をご用意しております。
形式にこだわらず、気軽な雰囲気で行うお祝い・顔合わせ。
板前が心を込めたお料理で和やかな集いのひとときを演出しています。
家庭だとなかなか包丁を、研ぐ機会はないと思いますが、板前は包丁を念入りに研ぐことで1日の終わりにリセットを行い、翌日の為にメンテナンスを必ず行います。しっかり包丁が研がれているのかで料理の見た目だけでなく、舌触りや味も大きく左右されます。
もちろん料理に重要な衛生の面でも包丁を仕事終わりに研ぐことが大切です。
北大路での包丁をメンテナンスする上で大事にしているポイントを4つご紹介していきます。
1. まずは砥石を研ぐ
「砥石を研ぐ」ことに違和感を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、包丁を研ぐ砥石すらメンテナンスをするのです。
砥石にも種類があり、 「荒砥(あらと)」 「中砥(なかと)」 「仕上げ砥(しあげと)」 などがございます。
それぞれの砥石は研ぐと湾曲します。研ぐ前に綺麗な面にしてからでないと綺麗には研げません。
当然とお思いの板前さんは実際少ないのが現状です。包丁を大事にできない板前さんも多くおります。
2. 鎬(しのぎ)をけずる
包丁の刃だけを削って満足する板前さんが多いですが、北大路では徹底的にしのぎまで削ります。しのぎを手入れせずに放っておくと、丸ッ刃になってしまい使えなくなってしまいます。
しのぎは削りづらい部分ではありますが、丁寧にしのぎの角度に合わせて砥石を当てて削っていきます。しのぎが削れなければ、和食業界の最前線で料理を振る舞いのは難しいでしょう。
3. 刃先から刃元まで同じに研ぐ
気になった部分だけその都度その都度削る板前さんが多いですが、それではギザギザな面の包丁になってしまいます。削るのであれば、刃先から刃元まで綺麗に削る必要があります。
あまり意識してない方は、自分の包丁を見てみていただけたらと思います。メンテナンスをしていてもギザギザになっていることがあります。
また味や見た目に左右されるだけでなく、包丁としての長持ち度が圧倒的に違います。
実際のところ刃先だけ削る人が多く、そのような人は悪くなった包丁をすぐ捨ててしまいます。洋食の両刃とは研ぎ方も違うので、和包丁の片刃は表面をしっかり削り、刃渡りを均一に研ぎ、刃裏は軽くかえりをとる程度にメンテナンスする事が大切です。
4. 包丁の柄を手入れする
料理に触れない部分であり、味にも見た目にも影響はありませんが、北大路では柄の部分まで磨き上げます。
それは衛生面を考えてになります。洗うだけではなく、毎回柄の部分まで念入りに磨き上げいます。
使っていると柄が黒ずんできて、板前としての歴史を物語っているように感じますが、実は不衛生極まりません。しっかり柄の部分まで磨き上げることで常に買った時の状態を保つことができます。
北大路に研修でくる板前さんの包丁を見ると、普段どんな包丁の使い方をしていて、どれほどメンテナンスをしているのかが分かります。やはり柄の部分まで綺麗にしている人の方が、料理への思いを感じます。
(とはいえこればっかりはデメリットもあり、柄を磨きすぎて柄だけ細くなってる人もいます笑)
なぜ包丁にこだわるのか
これは冒頭でお伝えした通り、包丁で見た目も味も下触りも大きく変わるからです。
食材によって包丁を使い分けており、個人が所有する包丁の数は10〜20本ほどです。
食材の味を引き出すことや、細かい切り分けをする上で、季節の食材、用途ごとに包丁を使い分けます。河豚(ふぐ)、鱧(はも)、鰻(うなぎ)、むきもの(野菜)など専用の包丁が存在し、パフォーマンスに歴然とした違いが出てきます。
包丁にこだわれる板前は技術の幅が広がり、より多くの料理を提供できます。
筋や目が綺麗に切れるので、食感が違いますし、切り付け面の艶も変わってきます。
実際の断面や艶の違いをご覧ください。
板前の手によるマグロの柵取りを動画に残してみました(1分)
熟練の技術が詰まった鱧切りもご覧ください(1分7秒)
板前の腕が試される桂剥きもご覧ください(1分)
包丁に対する熱が冷めない理由
包丁もピンからきりまでございますが、値段が高ければいいというものでもありません。百均で売っているものやセラミックでできた安い包丁も出回っておりますが、安価なものを除いて、1万円以上するプロフェッショナル仕様の包丁であれば、安くても丁寧に毎日メンテナンスすることにより、手入れを怠っている高価な包丁よりも、切れ味の良い技の効く料理を作れます。
長年板前としてやっているといずれ包丁のメンテナンスが大切だということに気づく時がきますが、やはり多くの板前さんは実務経験のみで勉強していると10年ほどかかります。10年板前をやってきて、北大路に入社した板前さんでもここまで包丁にこだわっていなかったと口にします。
これは一理に科学している板前が業界には年々減少してきたのではないかと考えます。
科学する板前とは
切れ味の良い手入れのされた包丁とは何か。
その包丁のために何をすればいいか。
なんのために包丁を研ぐのか。
上記の包丁への問いが包丁を科学することだと考えます。
また、なんのために包丁を研ぐのかの答えには、料理の先にお客様の顔が見えているのかが真に問われます。全ての料理への思いは包丁にあらわれると考えています。商売道具のメンテナンスができていない板前には、その先の作業や工程にぬかりないとは考えにくいです。
なんのためにメンテナンスをしているかが分かっており、お客様の顔を思い浮かべて仕事ができていれば、道具も綺麗に、丁寧に扱うものと考えます。仕事の姿勢が包丁に現れます。
ここまで読んでいただいた方には冒頭でご紹介した会席料理が違った見え方をするのではないでしょうか。
見た目だけでなく、お客様の口で実際に違いを体験してみてください。
北大路ではそんなお客様の顔を想像しながら道具を大事にできる板前さんとお仕事をしたいと考えています。
また、そんなお客様へのホスピタリティをもち合わせる板前さんを育てています。
ご興味を持っていただいた方、ぜひお話させていただけたらと思いますので、北大路までご連絡ください。